非居住者でも不動産売却はできるの?流れや必要書類…

非居住者でも不動産売却はできるの?流れや必要書類を解説!

海外転勤等で長期的に海外に滞在しており、海外にいたまま日本国内の不動産を売却したい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

海外に在住の方が日本国内の不動産を売却する場合は、必要書類や税制が、一般的な不動産売却とは異なります。
また、このように海外に長期間在住している日本人のことを「非居住者」といいます。

今回は、日本国内の不動産を売却したいという非居住者の方々に向けて、不動産売却の流れや必要書類、注意するべきことについて紹介します。

□非居住者とは?

ここでは、まず「非居住者」について詳しく説明していきます。

所得税法上では、税金を納める義務を負う方を「納税義務者」と呼びます。
そして、日本での納税義務者は、「居住者」と「非居住者」に分けられます。

居住者に該当するのは、日本国内に住所がある方、もしくは現在まで引き続き一年以上国内に居所を持つ方です。
居住者は、日本国内・国外で生じたすべての所得に対し課税されます。

非居住者に該当するのは、居住者以外の方、つまり、日本国内に住所がない方、そして日本国に一年以上住んでいない方です。
非居住者は、日本の国内で生じた所得のみ課税対象となります。

例えば、日本国籍でも海外に1年以上赴任している方は非居住者に該当します。

ただし、生計を共にしている家族の居住地といった個人の状況でどちらに当てはまるか変わります。
まずは税務署に確認してみましょう。

居住者と非居住者では、不動産売却で発生する税金に違いはありません。
不動産売却で発生する利益には、譲渡所得税と住民税が発生します。

また、譲渡所得税と住民税の税率は売却する不動産の所有期間で変わります。
所有期間が5年以下の場合は譲渡所得税が30%、住民税が9%かかります。
そして所有期間が5年を超える場合は譲渡所得税が15%、住民税が5%かかります。

□非居住者でも国内の不動産売却は可能!流れを解説します

では、実際に非居住者の方が日本国内の不動産を売却する時の流れについて見ていきましょう。

*不動産会社と司法書士を探す

不動産売却においては、不動産会社に不動産売却に必要な手続きを行ってもらい、司法書士に法的な手続きを進めてもらうことになります。
まずは不動産会社と司法書士を探しましょう。

不動産会社によっては非居住者の不動産売却に対応していない会社もありますので、ホームページや問い合わせで確認したうえで依頼するようにしましょう。
また、依頼先の不動産会社と司法書士には、事前に非居住者である、ということを伝えておくようにしましょう。

*書類の準備をする

非居住者が不動産売却を行う時は、通常の不動産売却で必要になる書類に加え、特別な書類もいくつか用意することになります。
書類は、現在お住まいの国の日本大使館や領事館で入手してください。
必要書類については後ほど詳しく解説します。

*売却活動を行う

不動産会社によって売却活動が始められます。

*売買契約を結ぶ

売却活動で買主が見つかったら、売買契約を結びます。
通常は、売主と買主が立ち会って売買契約を結びます。

しかし、売買契約を結ぶタイミングに合わせての帰国が困難な方も多いでしょう。
その場合は、代理人を立てます。
事前に不動産会社に相談し、代理人を立ててもらいましょう。

*決済と引き渡し

売買契約を結んだら、買主からの物件代金の入金を確認し、物件を引き渡したら売却完了です。
決済当日は、ローンの返済や抵当権の抹消手続きが必要となるため、売買契約を結ぶ時と同様で立ち合いが必要になります。
そのため、帰国できない場合は事前に金融機関・不動産会社に確認しておきましょう。

□非居住者の不動産売却における必要書類を紹介

不動産売却の流れの中で出てきた「書類を用意する」の段階で、非居住者の売却の場合に特別に必要になる書類について詳しく紹介します。

・在留証明書
・サイン証明書

在留証明書とは、売り手である非居住者の方がどこの国に住んでいるのかを証明するために必要な書類です。
通常の売却で必要になる住民票や住所証明書の代わりになります。

サイン証明書は、日本における印鑑証明書のようなものです。
サインが公的なものである、ということを証明できます。

この2つの書類は、日本領事館もしくは日本大使館で入手できることがほとんどですので、まずはお住まいの国の日本領事館・日本大使館に問い合わせてみましょう。

また、売買契約を結ぶ時や不動産の引き渡しを代理人に依頼する時は、さらに必要な書類があります。

・代理権限委任状
・代理人の印鑑証明書
・代理人の実印
・売り手と代理人の本人証明書類

代理権限委任状は、売り手となる非居住者の方が用意する必要があります。
不動産会社に依頼して、フォーマットを貰えないか確認してみましょう。

代理人には大金を取り扱ってもらうことになるので、できるだけ家族や親族にお願いしましょう。
また、代理人がどこまで決められるのか、線引きを明確にしておくことをおすすめします。
金額の値下げや家具の処分など、どこまで代理人に行動を任せるのか、代理権限委任状で明記しておくと良いでしょう。

□非居住者による不動産売却には源泉徴収が必要です!

非居住者による日本国にある不動産の売却においては、一定の条件に該当した場合、その不動産の買主は売買代金から源泉徴収をし、税務署に支払う義務があります。
源泉徴収して支払う額は、支払額の10.21%相当の額です。

源泉徴収が必要になるのは以下の3つに当てはまる場合です。

・買主が個人ではない
・買主本人、もしくは買主の親族の居住用での購入ではない
・売却代金が1億円以上

この3つに当てはまる時は源泉徴収が必要になるので、非居住者に支払われる金額は、売却金額の89.79%相当の額になります。
源泉徴収した10.21%相当の額については、不動産の買主となる方が、不動産を購入した翌月の10日までに、税務署に納付する必要があります。

売却をした非居住者の方は、確定申告をすることで、源泉徴収された金額が精算されることになります。

□確定申告の期間に注意しましょう

不動産売却の後は、確定申告をしてください。
確定申告をすることで、控除や特例を利用し、支払う税額を抑えられます。
また、源泉徴収の対応となっている不動産売却の場合は、確定申告をしないと還付を受けられません。

確定申告で注意が必要なのが、その期間です。
確定申告は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日の1か月間です。

非居住者の方の中には、この期間での確定申告が難しい、という方もいらっしゃるでしょう。
その場合は、納税管理人を決め、代わりに確定申告を行ってもらうことになります。
納税管理人を選定する時は、税務署に届出書を出す必要があります。
早めに準備しておきましょう。

□まとめ

海外に居住していても、日本国内の不動産の売却は可能です。

ただし、売買契約を結ぶ時や不動産の引き渡しの時は、買主と共に立ち合いが必要になります。
そのため、そのタイミングに合わせて帰国するのが困難な場合は、代理人を立てる必要があります。
代理人にどこまで決めてもらうのか、事前に明確に決めておくようにしましょう。

また、条件に当てはまる場合には源泉徴収で売却額の10.21%が源泉徴収されます。
その還付を受けるため、そして控除や特例を利用するために、確定申告が必要になります。

当社は、松江市周辺で不動産売買を行っています。
松江市周辺で売却したい不動産を所有している方、家を購入したい方は、ぜひ当社にご相談ください。

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